元気塾Blog

経世代毒性学という学問

「環境ホルモン」

内分泌かく乱物質、いわゆる環境ホルモンですが、
最近、その言葉がぷっつり聞かれなくなったと思っていました。

環境省のホームページからも環境ホルモンの言葉は消えて、
疑われる物質リストも廃止されています。
一部の環境団体のから騒ぎだったという声も耳にします。

しかし、アメリカでは
「経世代毒性学」という新たな学問として研究されて続けていました。
経世代毒性学とは、
化学物質を浴びた個体からその子、孫、玄孫、と
その毒性がどう影響してゆくかを調べるものです。

初めての「経世代毒性学」の論文

2005年にワシントン州立大学の
マイケル・スキナー教授の研究グループが
初めての論文を米科学誌サイエンスに発表。

ピンクロゾリンという、殺菌剤をラットに投与、
その後生まれた子の孫、ひ孫、やしゃごを作らせ、
計5世代のラットを調べたものです。

結果、ピンクロゾリンに暴露されていないはずの、ひ孫世代のラットでも、

  • 精子の異常、
  • 精子数減少、
  • 運動低下、
  • 細胞死、
  • 不妊などが生じた

という結果でした。

この研究内容に、当時、専門家たちは懐疑的でした。
医薬品、農薬、化学物質など様々な物質が入ってきたとき、

毒性の影響が表れるのは本人と
その本人が妊婦であっても胎児までで、
毒性が遺伝することはない、と考えられていたからです。
(毎日新聞、医療プレミア 遠山千春東大名誉教授)

内分泌かく乱物質、2005年の世界の動き

2005年のこの研究発表のころ、「内分泌かく乱に関するプラハ宣言」が、
欧米を中心とした13か国、127名の科学者が署名し発表されました。

これは、潜在的リスクを大きなを考え、科学的にまだ不十分な研究を理由に、
その暴露予防やリスク削減への
予防行動を遅らせるべきではない、という主旨でした。

それから15年、ピンクロゾリンのほかにも、

農薬としては
メトキシクロール、ペルメトリン、
DDT、DEETなど

プラスチック原料では、
ビスフェノールA、フタル酸、
ダイオキシン、トリプチルスズ、
エタノールなど、

様々な化学物質が世代を超えて伝わるという
動物実験が次々と発表されています。

さらに、19年には除草剤「グリホサート」の影響も
世代を超えて伝わるとの論文が発表されました。

ご存じのとおり、この「グリホサート」は発がんも疑われ、
12万5000件の訴訟が起きていました。

昨年、1兆2000億円の和解金を
製造元のバイエル社は支払うと発表しています。

日本も農薬の安全調査へ

ようやく日本でも今年の4月から、
14種の化学物質の安全確認調査をスタートしています。

この中に、グリホサートは入っています。
速やかに確認してもらいたいものです。

「世代を超える毒性」
これは本当に恐ろしいことです。

子孫に初めから、負の遺産を残すことになるわけです。

いいえ、人間だけでなく、他の動物も、鳥も、魚も、
自然体系そのものが負の連鎖を生むのです。

避けたい化学薬品のせめてリストは挙げてほしいものです。
情報がないと選べないからです。

もっとも疑わしきは選ばない、
という選択肢もありますね。

あなたはどう思いますか?

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