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妊婦自殺予防対策は「長野モデル」か「ネウボラ」?

母と子

妊産婦の死亡原因のトップが自殺?

産後1年未満の女性について、
平成27年~28年の死亡者は357人。
そのうち自殺は102人で、死亡原因のトップ、
102のうち92人は産後の自殺者です。

これは国立成育医療研究センターが発表したものです。
国の死亡例に関する統計では、
出産時の出血異常などが対象で
産後うつの悪化などメンタル面の影響からくる自殺は
把握されてない、と朝日新聞にあります。(2018年9月5日付け)

長野モデルの成果を論文に

さて、この事態に対して、
最近、長野県でこんな取り組みがあります。

「長野モデル」と呼ばれる
妊産婦の自殺予防プログラムによって自殺念慮が改善。

その調査結果を成育医療センターがまとめました。
今年の7月29日に、
英国際精神医学誌「BMCサイキアトリー」に
論文が掲載されました。

長野モデルとは、様々な職種の人が連携して
妊産婦をサポートするのが特徴だそうす。
新生児を訪問する保健師が
まず、すべての母親を対象に自殺念慮の強弱を調べます。
これには、国際的に普及している
「エジンバラ産後うつ病質問票」を用います。

ここで高リスクと判断されると、
保健師が「心理的危機介入」をし、
悩みを聞いたり、医療機関につないだり、
一時保育の利用を勧めたり、フォローアップしてゆく、というもの。

この長野モデルがスタートする前の
2015年11月~2016年3月の妊婦230人と
モデルが始まった後の2016年4月~7月までの妊婦234人との比較で、

モデル開始後のほうが自殺念慮の点数が低くなり、
モデルの有効性が証明された、そうです。

早期発見・早期治療

国立成育医療研究センターの乳幼児メンタルヘルス診療科部長で
厚労省研究班の班長でもあった立花良之氏は以下のように語っています。

早期発見して治療や支援をすれば救える命、
長野モデルのような自殺対策は、
母子保健業務のルーティンに含まれるべきだ

産後うつという言葉も
最近ではかなり定着してきました。

産後のホルモンバランス変化などで
産後うつは、10人に1人の割合で
起こると言われています。

もちろん、不安なお母さんを支えるサポートシステムは
とても大事なことです。

でも、早期発見、早期治療が今の日本の医療モデルなわけで、
これが、産後うつ患者を量産することにならないか、
一抹の不安があります。

フィンランドの「ネウボラ」

どうせなら、フィンランドの、”ネウボラ”というねうぼら
切れ目のない支援をモデルにしてほしいと思います。

フィンランドでは、
妊娠が分かった女性は、まず病院ではなく、
近くのネウボラに行くそうです。
そこに常駐している保健師と何度も検診や面談を行い、
出産後も、同じ保健師が自宅を訪問します。

驚いたのは、
出産を悩んでいる女性もいるからと、
来所した女性すべてに、いきなり
「おめでとう」とは言わないのだそうです。

「妊娠したことをどう思いますか?」
というニュートラルな質問で
様々な立場の女性に対応している、と聞いて、
なんて素晴らしい!と思いました。

医療の立場からではなく、
女性の立場に寄り添っている様子が
伺えます。

そして、子供が学校へ行くまでずっと
そのきめ細かい支援が続くそうです。

さすがジェンダーギャップ指数3位のフィンランドですね。
女性に対するサポートが本当に決め細かい、
ネウボラは国内に800か所、その利用率は100%、
そしてそこで働く女性は親しみを込めて
「ネウボラおばさん」と呼ばれているそうです。

 

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コメント

    • 齊藤勝幸
    • 2020年 8月 01日

     1994年 デンマークを訪れた時、街は 『コミュニティー』で、システム化されていました。日本でいう中学校区で、コメディカルスタッフが各コミュニティーに配置されているのです。私は作業療法士なので、デンマーク人の作業療法士とともに、街を歩きました。会う人会う人が彼女に声をかけます。彼女は、日本でいう『認知症カフェ』にも関わっていました。サロンです。
     フィンランドの『ネウボラ』も、当時のデンマークのコミュニティーのような感じで、気軽に、自分の気持ちを伝えられ、妊婦は大切にされてるんだろうなと想像しています。
     話を聞いてくれる身近な存在は大切です。加えて、専門家の存在も、欠かせないものだと思いました。
     
     フィンランドもデンマークも、すぐにこのようなシステムができたとは思いません。一人一人が、どんな社会を創っていきたいかを、真剣に話し合った結果のこのシステムだと思います。

     日本も、一人一人が、どんな社会を創っていきたいかを、発信して、話し合っていきたいものです。

     『ネウボラ』 という 良さそうな先輩のシステムがあるのです。私たち日本人は、なんてラッキーでしょう。
     

      • Fukutani
      • 2020年 8月 01日

      本当ですね。
      フィンランドやデンマーク、実際に行って見てみたいです。
      世界から学ぶべきものは、たくさんありますね。

  1. 硬膜外麻酔の麻酔剤の影響が懸念されます。
    免疫寛容とウイルス感染の可能性も懸念されます。

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