ピロリ菌が胃炎を起こすメカニズム
ピロリ菌を除菌せずに
共存しながら胃潰瘍・胃がんを減らす?
大阪大学微生物病研究教授の
山崎晶氏のグループで
ピロリ菌が炎症を引き起こす機序を解明しました。
ピロリ菌は宿主の持つコレステロールを
特定の免疫賦活化物質に変換し、
これによって宿主の免疫細胞が活性化され
胃炎など炎症がおこる、というメカニズムです。
つまり、
人間のコレステロールが
その特定な免疫賦活化物質に変換されなければ、
炎症も起きない、というわけ。
実際にはピロリ菌がいても
胃がんにならない人がたくさんいます。
ピロリ菌と共存している人です。
ピロリ菌の除菌は保険適用
2013年くらいからこのピロリ菌除菌が
保険適用になって多くの人が除菌していると思います。
しかし、当初から反対意見もありました。
『失われてゆく、我々の内なる細菌』マーティン・J・ブレイザー著(2015年)
19世紀にはほぼすべての人の胃にありながら、
21世紀の今は消えつつあるピロリ菌、
それをマイクロバイオーム、
つまり、
我々と共存している微生物群の役割から
ピロリ菌の役割についても述べています。
ピロリ菌を持っている人がならない病気に、
今、増えているとされる逆流性食道炎以外にも、
- クローン病
- セリアック病(グルテン不耐症)
- ぜんそく
つまり、自己免疫疾患を上げている人がいます。
もちろん、まだまだピロリ菌と自己免疫疾患についての
研究は始まったばかり・・
これからどんな研究が出てくるのか、楽しみです。
なお、客観的データ(エビデンス)の
グローバル・スタンダードである
「コクラン・ライブラリ」
というものがあるのをご存知ですか?
イギリスのオックスフォードに本部を置く
NPO法人コクラン共同計画が作っている
世界最大規模のデータベースです。
その客観性は世界の医療関係者に、信頼されています。
その中の胃新生物(がん)とピロリ菌除去を
評価した部分を引用します。
「ピロリ菌に対する抗生物質使用は、
胃がんの予防に小さな利点があることが判明した。(胃がん発症は、治療を受けた3294人の内51人(1.6%)、
無治療ないし偽薬の3203人の内76人(2.4%))胃がんによる死亡者数の減少、
どんな原因でもよい全死亡数の増減、
食道癌の症例数の増減に影響したかどうかは不明である。治療の副作用に関するデータの報告は不完全である」
まだ、私たちの体内にいる菌のことは、
わからないことだらけなのですね。
ピロリ菌と共存しながら、
胃がんにならない大阪チームの研究が、
これからの、
あらゆるものとの共存を前提とした研究の
先駆けになれば嬉しいと思います。
あなたはピロリ菌と共存してますか?
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