ある日突然、体が動かなくなったら
どのくらい恐怖でしょうか?
私の友人がまさに、それを体験しました。
突然、2時間くらいの間に、
首から下が全く、動かなくなったのです。
意識ははっきりしていたので
何が起きたのか理解できず、
恐怖で泣きわめいたと言います。
ALSや、ギランバレーや、様々な病気を疑われ
検査につぐ検査でした。
結局、友人は原因がわからないまま、
1年くらいで徐々にもとに戻りました。
いったいあれは何だったのか、
と、今も不思議がっています。
友人が疑われたALSという病気をご存じですか?
ALS=筋萎縮性側索硬化症
脳や末梢神経からの神経伝達を
筋肉に伝える運動神経細胞が死滅してしまう病気。
指定難病です。
腕や手、足などが動かなくなる、
言葉が話せなくなり、
食べ物を飲み込むことができなくなり、
呼吸まで困難になります。
発症して3〜5年で自発呼吸ができなくなり、
人工呼吸器と胃瘻を装着しないと
生きてゆくことはできなくなります。
家族や介護を担う人への
負担や経済を考え、
呼吸器を付けず死を選択する患者が
全体の7割を占めるそうです。
今もまだ原因もわからず、もちろん治療法もありません。
50歳〜74歳に発症する人が多く、
現在、日本では9636人(2017年度)この30年で3.7倍に増えています。
重度ALSでも活躍する人たち
昨年、重度のALSで全身麻痺の状態ながら
7月の参院選で初当選した人がいます。
船後靖彦氏。
介助者を通してではあっても、6回の質疑を行い、
障害者であっても議員活動が出来ることを証明しました。
どれほど多くの人を勇気づけたのだろう、と想像します。
また、東大生が行っている
「障害者のリアルに迫る」という自主ゼミに何度も参加し、
まさに命がけのコミュニケーションを
取り続けている岡部さんというALS患者がいます。
この学生と岡部さんの交流を取り上げた
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『なんとなくは、生きられない』
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という本が発行されました。
「呼吸器をつけて生きることを選び、まず、存在する。
それがスタートで、
存在する、ということに意味があると
思うようになりました」
もちろん、声を出せるわけではなく、
文字盤と、かすかに動く顔の筋肉とで
介助者を通して言葉を伝えます。
この岡部さんの言葉は、
学生たちの心に何を呼び覚ましたのでしょうか。
24時間365日、
人のお世話にならないと一瞬も生きていけない状態でも
岡部さんが生きることを選び、
学生たちとコミュニケーションを交わそうとするのは、
「ことば」が社会とつながらせてくれる、
そう信じているから、と言ったそうです。
「ことば」でつながる社会
それが岡部さんにとってどれほど素晴らしいものなのか、
少し想像して・・・圧倒されました。
1年間、体が動かない状態だった友人は恢復後、
障害者施設の介助ボランティアに行き始めました。
「病気」とは、その人の人生に
何か、新たなものを付け加える、
積極的な意味があるのかもしれませんね。
あなたはこの話を聞いて
どんなことを感じていますか?
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