「怖い」と泣く子どもに
「怖くない怖くない、大丈夫だよ」と言う、
「頭にきたんだ、殴ってやろうかと思った」
「ダメじゃないか、暴力は絶対にダメ!」と叱る、
どんな親でも一度ならず、
こんな対応をしたことはあると思います。
良からぬ状態にある子どもを
良い状態へ引き戻したい、という
脊髄反射的な、対応です。
しかしハインツ・コフートという心理学者は
こういった対応を、
子どもの中にあるネガティブな自分を
いないものとする対応だと言います。
「情緒的見捨てられ体験」とも言います。
つまり、怖がっている自分、
殴ってやろうと思っている自分が、
無かったものにされてしまう、という体験です。
そういう体験が多いと、
子どもは大人になって
自分のマイナス部分をそのまま
認めることが難しくなります。
つまり、自己受容できにくくなるのです。
コフートは、こんな時の対応を
「映し返し」と呼んでいます。
「怖かったんだね~」
「殴ってやりたかったんだね~」
相手の感情をそのまま認める、
隣に座って一緒にその感情を味わってみる、
この状態は、
ネガティブ・ケイパビリティとも言えます。
解決を急がない、ということです。
待つ力、とも言えると思います。
私たちは、学校教育で、または職場で、
反対のポジティブ・ケイパビリティばかりを
学んできました。
迅速に物事に対応し、
問題解決する能力のことです。
それが良いことだと刷り込まれたのです。
しかし、今、
本当に欲しいのは、
となりに座って一緒に怖さを感じる時間、
つまりその時間に耐えられる力、
ネガティブ・ケイパビリティの方かもしれません。
誰かをサポートする人は、特に、
日頃から磨いていきたい力です。
note: わからないことを楽しむ 参照
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