同調圧力
最近、同調圧力という言葉が
よく聞かれるようになりました。
昔は「空気」「世間」などと言われていました。
大多数の意見に従わざるを得ない、
そんな無言の圧力のことです。
評論家の佐藤直樹さんと、劇作家の鴻上尚志さんの
対談集がベストセラーとなっています。
■『同調圧力』
~日本社会はなぜ息苦しいのか~
その中で
佐藤さんが「世間」のルールを4つあげています。
1つめ:「お返しのルール」
ものをもらったら、必ず返さねばならない
2つ目:「身分制のルール」
年上・年下、先輩・後輩、格上・格下など。
3つ目:「みんな一緒のルール」
何より和を貴ぶ。
4つ目:「呪術性のルール」
葬式は友引の日にしない、など。
なるほど、と思います。
しかし、この「世間」が根強くあるために、
日本は、欧米のような
強制的ロックダウンをしなくても「自粛」で事足りたわけです。
そこには、
「自粛に応じないものは非国民」という同調圧力があったからです。
息苦しさを生む過度な同調圧力
しかし、それが息苦しさを生んでいることもまた事実。
戦時中との相似性を思い起こしてしまいます。
国難対応のため、挙国一致ということで、
国にとって都合の悪いことや批判などは全部スルーされた、
言いたいことの言えない圧倒的な空気が
そこにはありました。
そうでなくて、どうして若い子たちが
特攻隊などという、死への旅立ちができたのか・・・
それと似たようなことが、今回のコロナ禍でも
引き起こされているような気がします。
新しい生活様式
5月4日に発表された例の新しい生活様式に、
私は、ものすごい違和感を感じました。
買い物は通販を利用、食事は横並び、
人との距離は2m、など、
生活の場面の様々な状況での実践例が上がっていました。
およそ、医学的助言とは程遠い生活の仕方を、
専門家会議の(何の専門家かわかりませんが)
公表のまま、厚労省がホームページに載せていたわけです。
なんだか、
「欲しがりません、勝つまでは」
「贅沢は敵」などを思い出してしまいました。
もう一冊、本をご紹介します。
■『生き心地の良い町』 岡檀(まゆみ)著
~この自殺率の低さには理由がある~
これは日本でも極めて自殺率の少ない
徳島県海部町(旧)という町の謎に迫った一冊です。
なんとなく、
「人と人のつながりが強く、お互いが助け合っている町」
という想像があったのですが、全く違っていました。
実はこの町は同調圧力が低かったのです!
仮に町内募金などがあまり集まらなくても
払わなかった人に対して
冷たい目で見たり、排除することもなく、
「自分は自分、人は人」という
雰囲気が町全体にあるのだそうです。
まさに、多様性を認める価値観を持つ人が多い、
つまり、他人に対して同調圧力をかける言動が少ない、
これこそが自殺率を下げる要因になる、
と著者は言っているのです。
なるほど、と思いました。
日本がこれまで
自殺率が極めて高い国だったのは
この同調圧力に理由があったのですね。
言って見れば、日本人が全員で
自殺者を追い込んでいた、とも言えます。
自分も無意識に、
こんな空気を発してしまわないよう、
襟を正していきたいものです。
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