元気塾Blog

私たちの幸せに繋がらない今の医療

先日、古い本ですが
イヴァン・イリッチの
『脱病院化社会』(1972年)の
要約をコピーして
仲間で読み合わせをしました。

「医療そのものが
健康に対する主要な脅威になりつつある」

と、現代社会が医療に過剰依存していることを
痛烈に批判した本です。

「医療現場での過剰な施術・投薬、
医師、製薬会社、官僚のトライアングル形成、
そして、社会における病気への忌避、
隔離・収容を当然とする意識と施策」

こんなことを1972年の時点で書いている、
ちょっと驚きです、
という声が上がりました。

「1週間休めば、たいていの不調は解消するのに、
学校も会社もその期間の休暇を容認しない、
だから薬を飲み、医者にかかり、
フラフラになって出勤・通学するのだ」という。

興味深い指摘です。
本当に2019年までは
まさにそんな感じでしたね。

コロナのおかげで
良かったことは、
熱があるなら会社に来なくて良い、
という免罪符が出たことでしょうか。

2005年頃から
奇しくも、日本の国は
「脱病院化」政策を
進めようとしてきました。

社会的入院の解消、
過剰な病院病床の削減、
つまり、
病院から在宅へ、
医療から介護へ、

そして入り口のしての
プライマリ・ケアの充実など
専門に特化せず
総合的に病気を診ることができる
「かかりつけ医」の推奨、など。

もちろん、この政策は
実際は医療費の削減が目的であって、

イリッチの「脱病院化」が
高度医療がもたらす弊害に
警鐘を鳴らしたのとは
意味が異なりますが・・・。

しかし、実際は
プライマリ・ケア医は一向に増えず、
今も、専門医信仰が続いています。

テレビでも、必ず最後には
「こういう症状の場合は専門医にご相談を」
の一言が出ます。

メディアの洪水の中で
日々、こんな文言を目にしている
私達一般人は、やっぱり
専門医のご意見を
ありがたがって受け止めるわけです。

このイヴァン・イリッチの書いた
『脱病院化社会』の趣旨、
専門医信仰はヤバイ、ということの意味が
本当に伝わるために、
今、何が必要なんだろう、

と、考え込んでしまいます。

京都大学の藤井聡氏は
24年2月発売の著書
『過剰医療の構造』の中で、
専門医こそが「過剰医療」を生み出す
構造になっている点を
明確に述べています。

ウイルス感染に配慮しすぎ
自由な外出がなくなると
当然、身体の他の機能が衰える、

人間は全体で見なければならないのに、
感染症専門医は感染症のことのみ、
がん専門医はがんを消滅させることのみ、

つまりいかに、専門医が
過剰医療を生むことになるのかが
とても分かりやすく書かれています。

そして、この構造が、
個々人の幸せに、
決してつながらないことを
私たちは、しっかり見つめる必要がありそうです。

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