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「精密医療」日本はどこへ向かうのか

精密医療

老化のスピードを今までになく
簡単に判定できるようになる、という
2つの画期的な研究が
最近、発表されました。

7月9日付の医学誌「Nature Medicine」
米スタンフォード大学研究では、
血液に含まれるタンパク質を調べることで
臓器ごとの「生物学的年齢」を推定できる、
というもの。

もう一つは、7月1日付、医学誌「Nature Aging」
米デューク大学とオタゴ大学の研究で、
MRIスキャンを一度行うだけで
脳の老化を驚くほど正確に予測できる、
という研究です。

これらの研究は
加齢により病気になってから治療するのではなく
まだ若く、病気を発症していないうちに
介入したいから、という理由で
スタートしています。

一人ひとりの老化臓器がわかり、
脳の老化速度が分かると、
どんな臓器の劣化ががあって、
将来どんな病気になる確率が高いのか、
一人ひとり個別性に焦点を当てた
予防治療ができる、ということです。

実はこれと同じ発想で進んでいるのが
「精密医療」という分野です。
日本では東京大学医科学研究所、
医科研という場所がその舞台になっています。

ここでは、27万人の血液から採取した血清、
精製したDNA、更に個々人の診療情報を
集積した「バイオバンク・ジャパン」があります。

2003年に発足、
登録者のその後もきちんと追跡調査し、
世界的に見て、
追跡期間、参加人数ともに、
最長・最大級だとされています。

この「精密医療」は、
別名「オーダーメイド医療」とも呼ばれていて、
予防、検査、治療と、
個人の遺伝情報の違いに応じて
最適なものを選べるようになる、
というのを目指しているようです。

現代医学は遺伝子の研究が進んだことで
これまでの”十羽ひとからげ”から”個別性”へと
視点が変ったのです。

しかし、考えてみると、
いわゆる伝統医学と呼ばれるものは
全て「オーダーメイド医療」でした。
一人ひとりの体質や傾向を掴んで
治療するものばかりでした。

中医学しかり、
アーユルベーダしかり、
ユナニ医学しかり、です。

日本では整体という言葉を初めて作った
野口晴哉氏が伝えた「体癖」という理論も
同じように、人それぞれの個性に
目を向けた治療法でした。

長い間、現代の科学的医療は
臓器や病気を見て、人を見ず、
と言われてきたわけですが、
考えてみれば本当に不思議です。

いわゆる西洋医学は
科学的であることを選んだ時点で
「個別性」を切り捨ててきたわけです。

遺伝子学とAI技術のお陰で
やっと「個別性」に注目しはじめた、
「精密医療」という分野も
大量の遺伝子バンク、情報の収集、
それらの管理・分析など
方法論は、はやり「科学」です。

つまり数値化できるものを扱う
という点で、
伝統医学の方法論とは大きく違います。

日本の医学はこの先、
どこへ向かうのか、

医科研の「バイオバンク・ジャパン」の動きにも
注目していきたいものです。

 

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