2023年12月、新しい認知症治療薬として
レカネマブ(商品名:レケンビ)が承認・発売されました。
これまでの認知症薬とは全く作用機序が異なる、と
初めての根本治療になる、と
大変、騒がれた登場でした。
簡単におさらいすると、
抗アミロイドβ抗体というもので
アルツハイマー病の原因になっている(らしい)物質、
アミロイドβを取り除く作用がある、というもの。
ただ、進行した認知症には使えず、
「アルツハイマー病による軽度認知障害:MCI」と
「軽度アルツハイマー型認知症」が対象となります。
ん? ややこしいですね。
MCIとは、認知症そのものではない、
しかし健常な状態でもない、という状態。
軽度アルツハイマー型認知症とは、
認知症だが、まだ軽度というもの。
ま、ともかく
そういう軽い症状の人用に
開発されたのが、
このレカネマブ(エーザイ)でした。
その後、同じような作用機序のドナネマブ(イーライリリー社)
も承認され、販売されています。
さて、昨日こんなニュースが飛び込んできました。
MCIから正常に戻る人、
認知症に移行する人、について
久山町研究から二宮利治教授(九州大学大学院)が
今年9月に金沢市で開かれた
第40回日本老年精神医学会で発表しました。
おお、久山町研究!
久しぶりに名前を聞きました。
福岡県久山町で60年以上にわたって
住民の長期間追跡調査をしている
世界的に見ても、有名な疫学研究です。
さて、どんな発表だったかというと、
2012年に、MCIと診断された175人のうち
5年後の2017年に
正常認知機能に戻った人が55人(31.4%)
MCIのまま変化なしの人が43人(24.6%)
認知症に進んだ人が50人(28.6%)
死亡が27人(15.4%)
え、つまり、
正常にもどった人と、
MCIのまま変わりなしを合わせると56%!
認知症に進む人は、3割未満なのですね。
その後2017年にMCIと診断された人の
2022年に調べた結果もほぼ同じ。
しかも、MCI診断時に75歳未満に絞ると
5年間で正常に戻る人が約51%!!
また、どのような条件だと
正常に戻りやすいかについても
解析しています。
まずは糖尿病がない人は
ある人に比べて2倍正常になりやすい、
という結果が出ています。
それ以外でも、
血圧の低い人、握力の高い人、
コレステロール値が低い人、
抑うつ状態でない人などの
データが得られたということです。
まぁ、このあたりは予想通りかな、と思いますが、
それにしても、MCIに対して、
本当に薬を使う必要があるのでしょうか?
半分以上が悪くならない、もしくは正常に戻る、
認知症へと進む人は3割未満なのに・・・・。
ちなみにレカネマブは、
500㎎1瓶 114,443円で、
体重50㎏の場合、年間約298万円となります。
(今年11月、薬価が15%引き下げとなっています)
エーザイ社によると、2025年3月の通年実績で443億円の売上、
そして、今年2025年4月~9月期までの速報値で
なんとすでに411憶円、ということで、
ようするに、バカ売れ、なんですね。
この現実、あなたはどう思いますか?
あ、もちろん
レカネマブにも副作用は、ちゃんとあります。
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