100通りの相槌を打てるようになれ、
と言われたことがあります。
はい、はぁ、なるほど、たしかに、うんうん、
へ~、そうなんですね、ほう、あ、いいですね、
私たちはいつも、似たような言い方で
相槌を打ってしまいます。
口癖になっている人もいるかもしれません。
いい加減な相槌を打たれた側が
感じるのは、
なんとなくのもどかしさ。
ちゃんと聞いてくれている?
分かってる?
でもまだ相槌があるのはいい方で、
昔、全く相槌を打たない人がいました。
決して聞いていないわけじゃない、
むしろちゃんと聞いてくれている、
その証拠に、その後の意見は
私の言ったことをキチンと踏まえていることが
よくわかる。
なのに、なんだか奇妙な
不納得感みたいな感じがあり、
彼と話をするとき、
いつも、小さな不満が
溜まっていくような気がしたものです。
最初、何故こんな気持ちになるんだろう、
と、理由が分からなかったのです。
そしてある日、あっ!と膝を打ちました。
彼は一度も、
私が投げたボールを
受け止めたよ、という合図、
つまり、「相槌」がなかったのです。
「このサプリがいかに素晴らしいかを話す前に、
お客様自身が自分の健康を
どんなふうに捉えているか、を知ることが大事よ」
「工具の良さを言う前に
それで何を作りたいか、と聞くべきなんですよね~」
ちゃんと話は伝わっている、
でも、相槌がない。
コミュニケーションはキャッチボールだ、と
私は教わりました。
キャッチされた、という感覚がないということが
これほど、小さなイライラを呼び起こすことに、
その時、初めて気づきました。
よく注意して見ていると、
彼はいついかなる時も、誰に対しても、
そうでした。
相槌のない人でした。
そして人間関係が、あまりうまくいかない人だったのです。
決して悪い人じゃないし、
むしろ優しい思いやりをいっぱい持っている人なのに、
どうしてなのか、不思議だったけれど、
今、思い出してみると、
これだったのか、と思います。
人は自分の言ったことを、
一旦キャッチされないと、
不納得感が残るのです。
暗闇に向かってボールを投げているような感じ。
相手の言うことを一生懸命、聴くことは大事です。
でもそれだけじゃダメ、
聴いていますよ、ということを
相槌や表情、頷きなどで
相手に伝える必要があるのです。
それがキャッチする、ということ。
コミュニケーションのスタートでした。
100通りの相槌が打てるようになるよう、
意識してみよう。
彼を久しぶりに思い出して、苦笑いし、
改めて自分にそう言い聞かせました。
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