元気塾Blog

科学と物語、片方だけでは語れない

エビデンスは神様か

医療とは、
エビデンスという神様を信仰する宗教、

昔、ある女医さんのブログを
紹介したことがあります。

なるほど、と思いました。
https://ameblo.jp/dr-miki/entry-12121749069.html

エビデンス=科学的根拠、

つまりたくさんの人数から
数値化できるもの、
つまり血圧やらコレステロール値などを集め、

例えばAという薬を飲ませた群と
飲ませなかった群を比べ、

病気の発症率を調べ、
何%の差があるか、で
有意性を測る、というもの。

例えば、アメリカで行った1991年の
有名な研究があります。

平均、170mmHgの血圧の
平均72歳の人たち4736人を
血圧を下げる薬を飲む群と、偽薬を飲む群に分け、

5年間の脳卒中発症率を調べたら
薬を飲んだ群は5.2%、偽薬の群は8.2%だった。

つまり薬を飲み血圧を下げることで
脳卒中の発症率を
36.6%下げたことになるわけです。

しかし日本では
血圧や血糖値を下げる薬について
これほどの大規模比較調査はほとんどありません。

コロナ騒動でもそうでしたが、
日本人の体質や食生活が海外とは異なるので、

日本は日本人の治験が義務づけられていますが、
それは副作用などについてです。

さらに、3種類以上の薬を飲んで
それが飲まない人と比べて
どのように良いのか悪いのかの
エビデンスは
世界中、一つも無いのだそうです。

自分が治療を受ける時に、
エビデンスを確認することは
大切かもしれません。

その時、
どの程度のエビデンスしかないのか、
という視点も
とても大事だと思うのです。

『複合汚染』の本

思い出すのが、
1974年、「複合汚染」を書いた有吉佐和子さん、

食品添加物に対して
国はちゃんと安全性を調査済、
と公表していますが、
それは1種類に対する調査だけであって、

2つの添加物、3つの添加物を同時に
摂取したときの危険性についての
研究は一切無い、

と書かれていて、
衝撃を受けたのを思い出しています。

今も同じですね。

エビデンスは個人差をカバーしない

さて、仮にエビデンスがあったとしても、
先ほどのアメリカの研究データにもあったように、
薬を飲んでいても5.2%の人は
脳卒中になったわけで、

薬が発症確立を下げることはできても
どこまでいっても、ゼロにはならない、

つまり、エビデンスの限界は
個人差が無視される、ということです。

ナラティブ・アプローチ

今、EBM(エビデンスをベースとする医療)に対して、
NBM(ナラティブをベースとする医療)と言う言葉が
使われ始めています。

エビデンス=科学的根拠、
ナラティブ=その人個人の物語、個別性

という意味で、対立的に使われています。
でも、本当は当たり前のことですが、
どちらも大事な視点です。

そして今の医療がエビデンスに偏っているなら、
それを私たち一般人はしっかりと捉える必要があります。

医師のアドバイスは
あくまでエビデンスに基づいたもの、
(もちろん、基づいてないものもあるが)

それを分かった上で、自分はどうなんだろう、
自分の体と心は、どんなサインを出しているのだろう、

自分のナラティブは何を語っているのだろう、

その視点がとても大切です。

自分の主治医は自分(R)
あなたの健康のハンドルを握るのは
あなた自身なのですから。

 

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