8月6日も8月9日も、
そして、8月15日も、
80年前の戦争について
何も書いてきませんでした。
あまりに大きな問題で、
カラダとココロの健康を
どんなふうに戦争とつなげて書くのか
切り口が掴めないままだったからです。
最近になって、こんな本が出ました。
■『戦争トラウマを生きる:
語られなかった日本とアジアの戦争被害、
傷ついたものが作る平和』
黒井秋夫、蟻塚亮二共著
この黒井秋夫さんと言う方、
旧日本兵の子世代による
家族会を2018年に初めて発足した方です。
蟻塚亮二さんは、
これまでにも何度か
このメルマガでも取り上げた精神科のお医者さん。
蟻塚さんの父親は戦争を経て、復員後、
死ぬまで会社組織に属することなく
日雇いのような仕事をしていたそうです。
黒井氏の父も無気力で定職につかなかったことと
似ていることに気づき、
戦争によるトラウマの研究が始まったといいます。
なぜ、今頃?
と奇妙な気持ちになりました。
アメリカではベトナム戦争を機に、
帰還兵たちの失業、離婚、
自殺などが社会問題化しました。
でも日本では、
戦後、帰還兵たちの問題に
触れようとはしませんでした。
無気力になったり酒におぼれるような弱者は
旧日本兵にはいない、とまで言われたそうです。
仮に自殺があっても、個別の理由によるもので、
戦争とは関係がない、という国の姿勢でした。
そして戦後の経済復興にのみ、
全力を挙げた日本、
トラウマや心のケアの問題は
全くないものとされてきたのでした。
それが今、
旧日本兵だった親が、心に大きな傷を負い、
アルコール依存や、家庭内暴力を繰り返し、
その子、孫にまで影響することがわかり、
その当事者らが声を上げ始めたのです。
憎みぬいていた父の暴力、アルコール依存、
それが戦争トラウマだった、と知った時
父の別の面が初めて見えた気がする
といった女性がいました。
父もまた、被害者だったのだ、と
理解することができたのです。
今は亡き、私の母は12歳の時、
戦争で実の母親を失いました。
爆弾で一瞬にして亡くなったそうです。
その出来事は、母の人生に
大きな影響を与えました。
親無し子と言われたくないという意地で
つまり根性で生きてきた、と
自分で言って笑っていました。
2度目の母親となじめず、
ひいては実父とも仲が悪くなり、
子どもだった私は、
その厳しすぎる母の言動に
批判的だったこともあります。
ま、私はその程度ではありましたが、
やはり戦争が子ども、孫の世代に
健全な心の成長という意味で
影響のないはずがありません。
一人の人間の心の傷は
配偶者へ、子どもへ、そして孫へと
大きく影響を与え続けるのです。
カラダの病は、直接的に子に影響はないかもしれない、
でもココロの病は、確実に影響を与える、
私たちは、
ココロで深く繋がっているからだ、と思います。
傷つけられた心は
癒される必要があります。
そうでなければ、
傷つけられた人は
他者を傷つけることをやめられないから。
どこかで、その連鎖を断ち切る必要がある、
そんなことを、
この数日、ぼーっと考えていました。
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