ビタミンC、と聞くと
なんだか瑞々しいフルーツや
新鮮な野菜を思いうかべ、
なんとなく、体に良いもの、
という印象がありませんか?
アルコルビン酸とも呼ばれ、
骨や腱などの結合タンパク質である
コラーゲンの生成に必須の化合物です。
コラーゲン、これもなんとなく良いイメージですよね。
コラーゲンが不足すると
血管がもろくなり出血し、
壊血病を引き起こします。
また、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、
日焼けを防ぐ作用や
ストレス、風邪などの病気に対する
抵抗力を強める働きもあります。
そう言えば、
オーソモレキュラー医学では、
メガビタミン療法など唱えて、
通常の栄養学の推奨する
数倍のビタミンC量の摂取を勧め、
現代医学の主張とは
真っ向から対立していますね。
さて、そんなふうに良いイメージの
ビタミンCですが、
人間は自分の体内で
ビタミンCを作ることができません。
人間以外にも、サルやモルモット、
魚やコウモリなども、
同じようにビタミンCを作ることができません。
ひきかえ、
猫や犬、牛、馬、ヤギ、
ウサギやマウスなどは
自分でビタミンCを合成することができます。
人間は実は、6000万年以上前に、
遺伝子の変異によって、
ビタミンCの合成に必要な酵素が
働かなくなり、
食物からビタミンCをとらねば
健康を保てなくなったのです。
こんなに大切なビタミンCを
何故、人類は自前で作れなくなったのか、
これまでは、
「果物を多く食べるようになったため、
ビタミン合成能力が不要になったから」
という説が一般的だったようです。
しかし、ビタミンC不足が壊血病という
致命的な病気を引き起こし、
歴史的にも多くの命を奪ってきました。
なぜ、そんな不利な進化を遂げたのか、
それは謎のままでした。
ところが、中国の復旦大学と
アメリカのテキサス大学で行われた研究により、
この一見不利なビタミンC合成能力の喪失が
寄生虫から身を守る可能性が
マウス実験で示されたのです。
(2025年7月26日『bioRxiv』より)
つまり、ビタミンCを体内で合成できないという
進化は、何か隠れたメリットがあったのでは?
という視点でした。
実際に熱帯病の一種である
住血吸虫は、毎年2億人以上を苦しめる
深刻な寄生虫病の原因です。
血管内に棲みつき、毎日膨大な量の卵を産み、
その卵が臓器に詰まって炎症を起こすものです。
ただ、この寄生虫も自分でビタミンCを合成できないため、
必要なビタミンCを宿主から補給します。
人がビタミンCを合成できない、というのは
寄生虫の繁殖を妨げ、
宿主を守っているのではないか、
という仮説に基づいた研究だったわけです。
実験はマウスで行われました。
ビタミンC不足のマウスでは
寄生虫が卵をほとんど産めなかったのです。
その結果、臓器へのダメージも
大きく減っていました。
寄生虫と戦うために
あえてビタミンCを作らないという戦略が
人類の祖先がとった大胆な方法だった、
と考えると、面白いですよね。
弱点とされてきたものが、
実は、裏で大きな意味を秘めていた、
そういう見方って、
他にも応用できる視点だなぁと感じました。
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