腸内細菌叢がテレビ番組などで紹介され、
なんだかスゴイものだ、と
私たちが気づいたのが30年くらい前。
以来、腸内細菌の研究は
目を瞠るほど進んでいます。
そしてついに、2022年11月30日
なんと腸内細菌を使った製剤「Rebyata」を
アメリカFDAは世界で初めて
医薬品として承認しました。
C.ディフィシルという細菌感染症の
患者に対して使うものです。
この感染症は主に下痢、
重症化すると腸閉塞や
腸管に穴が開いたり、
全身の敗血症を起こすと
死に至ることもある疾患です。
通常健康な人は
このC.ディフィシルの細菌が
入ってきても、
腸内細菌叢のバランスが取れていると、
発症しませんが、
何かの病気にかかって抗生剤を使うと、
腸内細菌の種類や数が減り、
バランスを崩します。
すると
このC.ディフィシルが増え、
発病することになるそうです。
なるほど、
抗生剤が腸内細菌叢にダメージを
与えたことから引き起こされた
二次災害みたいなメカニズムですね。
この疾病に対しては
オランダ・アムステルダム大学で
2013年に便移植の効果が
発表されています。
その後も研究が進み、
ようやく昨年、
スイスのフェリング社が
「Rebyata」という製剤を
完成させたというわけです。
日本では、腸活と言えば一般的には
食べ物から腸内細菌叢のバランスを良くする、
といった働きかけが主流ですが、
医療の世界では、
腸内細菌叢のさらなる詳しい研究から
次々と特定疾患に効果のある
細菌名が分かってきています。
日本でも
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、
長い名前ですが、NIBIOHNと略すそうです、
ここで糖尿病や肥満になりにくい
細菌「ブラウティア菌」を特定しています。
このNIBIOHNは、全国の医療機関や自治体などの
協力のもと、日本人9000人の
腸内細菌に関するデータベースを構築しているそうです。
さて、2020年に90歳で他界された
光岡知足氏という腸内細菌学者がいます。
日本の腸内細菌学の先駆者とも言える方です。
所謂、善玉菌悪玉菌などの言葉を
言い始めたことでも有名です。
この先生の最期のご著書は
「共生の法則」という本でした。
しかし、これは医学の本ではなく
生き方の本でした。
何を食べるかより
どう食べるかが生き方を変える第一歩と
書かれています。
ふと先生の名前に目がいきました。
光岡知足・・・
知ることを足りる、
知足安分
これは老子の一節ですね。
みずからの分をわきまえて
それ以上のものを求めないこと、
という意味です。
90歳まで生きて、
最後に伝えたかったものが
医学ではなく、生き方だった、
とても考えさせられる本でした。
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