元気塾Blog

胸腺、萎縮しても必要な不思議な臓器

胸腺という言葉を、初めて聞いたのは、
たぶん30年ほど昔。

ある機能性食品の素材の勉強をしていて、
その素材はマウスに使ったところ
加齢による胸腺の委縮を遅めた、
という研究論文を見たのが
たぶん、最初。

胸腺って、なんだ?

という感じでしたが、
調べてゆくと、がぜん興味深い臓器でした。

胸腺の働きがわかったのは1960年ごろで、
比較的、新しく研究された臓器です。

胸腺とは、胸の真ん中、
心臓の上に乗るように存在している
握りこぶしほどの臓器。

それまでは何のためにあるのか、
よくわかっていなかったそうです。

今では血液のリンパ球の中には
B細胞とT細胞があり、
このT細胞を教育する場所が
胸腺だとわかっています。

幼少期に発達し、思春期を迎えると
少しずつ小さくなり、
大人になると、更に萎縮して、
最後は脂肪に置き換わってしまいます。

つまり胸腺が早く萎縮を起こすと、
免疫細胞であるT細胞が作られないことになり、
それが、つまりは老化だ、ということ。

なので胸腺の萎縮スピードを落とすことは
健康維持のため、
とても必要なファクターでもあるわけです。

ところが最近、この胸腺の萎縮と言う言葉を
児童虐待のニュースで見るようになりました。

これは2018年、虐待か事故か判然としなかった
11ヶ月の乳児のケースに

死亡後の解剖で、
胸腺が萎縮していた、とあり、
それが虐待の決め手になった、という事件がありました。

他にも、虐待を受けて死亡した5歳女児も
胸腺が同年代の平均の5分の1くらいに
縮んでいたそうです。

子どもの胸腺は活発に大きくなるのに、
栄養不足やストレスを受けると、
このように萎縮することが分かっています。

胸腺が一度萎縮すると
回復し再び大きくなることは
ほとんど望めないそうです。

虐待を受けた子どもが
心の傷のみならず、
免疫力まで不全をきたす、
そしてそれは、その後の人生にも
大きく影響する、悲しいことです。

更に、最近分かったことがあります。
アメリカのマサチューセッツ病院(MGH)の研究。

成人における胸腺の機能が明らかでないと、
胸腺の摘出は
様々な外科手術の中で普通に実施されているのだとか・・・

今回は、胸腺摘出グループと
胸腺を摘出していないグループで
その後の死亡率を研究したものです。

5年追跡後、
全死亡率、がんリスクも
摘出したグループの方が
有意に高かったことがわかりました。

研究者らは、
成人で胸腺委縮が進んでいても、
可能な限り胸腺は温存すべきだ、と
強く示唆するものである、と結論しています。

そんなもん、当たり前だろう~と
一人で憤慨してしまいました。

胸腺が免疫に大きな意味を持っているなら、
年齢と共に萎縮していったとしても、
それにはきっと何かの意味があるのだろうし、

盲腸みたいに、
なんの役にも立ってないからと
簡単に切り取るようなものではない、

本当に、
医学って、人間の体の仕組みを
舐めているんじゃないか、

特に免疫に関しては
まだ何もわかってない、

花粉症ひとつ、
アトピーひとつ、
食物アレルギーひとつ、
治せないという
医学の現状に、

もっともっと
謙虚であるべきだ、と思います。
(珍しくヒートアップしてしまった・・・)

あなたはどう思いますか?

 

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