元気塾Blog

メモを取らない子供たち

AIと知能

文科省は、2021年度の全国学力テストと
2024年度のそれが、
顕著に低下していると発表しました。

特に国語、算数(数学)で、
思考・判断・表現に関する質問への正解率が
下がっていることを指摘しています。

さて、『東大読書』を書いた西岡壱成氏は、
この変化を、次のように述べていいます。

最近の子どもたちの異変、
それはメモを取る子が圧倒的に減った、
ということなのだそうです。

なるほど、
確かに、今はパワーポイントを使い
授業する先生も増えたとか。
パワポのスライド資料など、
PDFにして配布もしています。

つまり、慌てて黒板に書いた文字を
写す必要がなくなっているのかもしれません。

メモを取る、
これは、考えてみれば、
かなり高度な作業です。

先生が説明する内容を把握し、
その中でも大切な部分をまとめたり、
要約したり、と
そこには、思考のプロセスがあるわけです。

メモをとりながら、頭の中を
整理しているのです。

ところが、デジタルツールを使ったり、
AIツールを使うことで、
「あとから資料を確認すればいい」
「あとで、調べればいい」
「あとから録画を見ればいい」

つまり「今ここ」が、
おろそかになっているのでは、
ということらしいのです。

言われてみると、
そうかもしれません。

私も個別セッションを、
録画させてもらっています。
それは自分の勉強の為もあるし、
言った言わないの誤解などのトラブルを
避けたいというのもあります。

しかし、稀にうっかり録画を忘れて
進めてしまうこともあり、
途中で気がつくと、その瞬間、
メモが急に増えます、

今ここ、に集中せざるを得ないからです。

言葉は流れていく、
その流れを記憶にとどめるため、
必死でメモを取ってしまいます。

でも、そういう感覚が、
生まれた時から
いっさい無かったとしたら、

それはその子の思考形成に
どれほどの影響を与えるのか、
ちょっと考えてみると、怖い気がしました。

2025年8月、オクスフォード大学は、
13歳から18歳の子どもたち2000人を対象に
実施された調査発表を出しています。

報告書の共著者で、
欧州教育神経科学ハブの責任者を務める
エリカ・ガレア(Erika Galea)は、

「現代の生徒たちは、機械とともに考え始めている。
思考を処理する流暢さや速度は身につけつつあるが、
一方で、立ち止まって考え、自ら問いを立て、
独自の考え方を育むことで得られる『深み』を失うこともある」

と述べています。

つまり「人工的な思考者」になってしまう、
と警告しているのです。

テクノロジーは、進歩すればするほど、
私たちに「便利さ」を提供してくれますが、
その代わり「能動的に考える力」を
失わせているのかもしれないのです。

つまり、AIは、答えはくれるけれど、
質問をくれるわけじゃないので、
自分の頭で考えようとする「能動性」が
薄れていくのです。

子どもとの対話、
子どもへの質問が
今まで以上に必要になる時代、
と言えるかもしれませんね。

 

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