元気塾Blog

他者の靴を履く、という聴き方

聴く

初めて「聴いて」もらった気がする、
と、先日受講生さんから言われました。

やっぱり、ちょっと嬉しかったですね。

早わかりせず、評価せず、
ただ一心に聴く、
相手を理解したい、
より深く知りたいという気持ちで
耳を傾ける。

これがサポートの第一歩です。

サポーティングスキルを学ぼうとすると
この第一歩で驚く人が多いです。
いかに自分が人の話を聞けてないか、
に、気づくわけです。

相手の価値観や感じ方に
共感できない、
それは間違っている、とすぐジャッジが出る、

中には嫌悪感が出てきたり、
混乱してしまったり、
自分の中にもある、
蓋をしてきた感情を語られると、
耳を塞ぎたくなったりする、

そんなふうに、たくさんの邪魔者が
自分の心の中に湧き上がってきて、
傾聴することが
本当に難しいことを
私たちは、やってみて初めて知ります。

だからこそ、
自分の中の邪悪な感情でさえ
ただ静かに聴いてくれる人は
本当に、得難い存在なのです。

「腹がたって、
もう、ぶん殴ってやりたくなったんだよ」
と言う子どもに対して、
「暴力は絶対、ダメ」という前に、

「そうかぁ、ぶん殴ってやりたくなったんだ」
と、ただ気持ちに耳をすます。

たったこれだけのことが
相手の支援にどれほど役に立つのか、
やってみた人は驚きます。

以前、ご紹介した
『他者の靴を履く』 ブレイディみかこ(著)

この中で、彼女は
いわゆるエンパス、
つまり過度な共感性に苦しむのは、
エモーショナルエンパシー、
つまり、ほぼシンパシーと同じ、
感じる力に過ぎない、と言っています。

それに引き換え、
コグニティブ・エンパシーとは
認知、つまり思考力、想像力を駆使して
相手の靴を履いてみること、

そして理解してみて初めて、
ああ、それならわかる、と共感すること。

これはどこまで行っても、
自分と他者が、
ぐちゃぐちゃに同化することではありません。

話を聴く時間が終われば、
相手の靴を脱いで、
また自分の靴を履きなおす、
つまり、自分を手放さない、ということなのです。

サポーターが持ちたい力、
まさにそれがコグニティブ・エンパシーです。

傾聴し、相手の靴を履いてみて、
自分とは異なる相手の思いに共感する、
でもまた、自分の靴に戻る、
だからこそ、自分の安定や平安が
守られる。

自分を守りながら、
他者を理解したりエンパシーを感じたりする能力、
これこそ、これからの多様性の時代、
必要とされる能力なんだと、
説いている本でした。

何度も読み返し、
深く,頷いています。

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